みなるのブログ

ビビりアラフィフの物思う日々

ある日、上司になる。

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 先日、初めてわたしが新人の研修をした。

 

 派遣の仕事なので、出入りは比較的多いのだけど。

 今月から自分達が

 グループリーダーになるという体制改変後、

 初めての新人を迎えることになったのだ。

 

 結論、昨日研修は、無事に終わった。

 

 とにかく、

 つ、疲れた…。

 

 先週から、 

 今週新人が来るらしい話は聞いていたので、

 新しいマニュアルを皆んなで頑張って

 間に合うように仕上げた。

 今週に入って、

 急に3人入ることがわかった。

 このメンバーで、誰も研修をやったことがない。

 「どうすんの?」という雰囲気の中。

 一緒にグループリーダーのSさんには、

 パソコン含め、全体を見てもらっていたし、

 もう1人のYさんは、

 家庭の事情もあり、

 今、なかなか落ち着いて仕事に来れない。

 グループリーダーのメンバーを見渡して、

 業務的に、研修をするのは、

 自分が打倒だと思ったので、

 「わたしがやるよ」と言った。

 

 これまで、この人生で、

 こういうことをしたことは正直ない。

 でも、今回の新しいマニュアルが、

 結構良くできているので。

 「マニュアルにそって、説明すればいいよね?」 と、引き受けた。

 

 前体制のリーダーが、

 実は研修で新人にほとんど教えていなかったらしい。

 後で聞くと、彼の研修を受けた人達が、

 「前リーダーからは、研修で、

 勤怠手続きのことしか教えてもらえなかった。

 あとの実務は、席の近い同僚に聞いた。」

 と、言っていて、ビックリした。

 え?実務教わってないってこと?

 「え?酷すぎる!?

 『次の日退職』案件じゃない?!

 よくやってきたねぇ!大変だったねぇ!」と

 思わず言ってしまった。

 

 皆んなも、

 「何をやっても、前リーダーよりはマシだよ」と、

 言ってはくれたけど。

 

 ええと。

 とりあえず、わたしはマニュアルに沿って、

 あと、説明を加えて。

 とにかく、1日、頑張った。

 

 とにかく疲れた。けど。

 意外にも、辛くはなかった。

 

 日頃から、

 わたしはこの職場で最古参なので、

 後輩に聞かれると、よく説明しに行っていた。

 その延長かな。

 多分、教えることは、嫌じゃ無い。

 教えた子が安心したり、

 助かったと言ってくれるのは、嬉しい。

 

 皆んなが仕事をする部屋の片隅を借りて、

 1日、研修していたけれど。

 夕方研修を終えて、リーダー席に戻ると、

 研修の様子を遠くで見ていたSさんが.

 「みなるさん、おしえるの、

 向いてるんだと思ったよ」と、

  言ってくれた。

 

 研修席に近い、別の子からも、

 「みなるさん、教えるの上手なんですね。

 前職は先生か何かですか?」

 と聞かれた。

 

 照れ臭いけど、ちょっとうれしい。

 

 今日は、その人達が、

 初めて実務に入るので、

 わたしは午前中、

 彼女らの席の後方を、

 反復横跳びのように、

 パソコン画面や業務を見守って、

 時々ヘルプして。

 

 午後は彼女らも、だんだん慣れてきたので、

 わたしはリーダー席に戻ってきた。

 

 Sさんが、

 「みなるさんが優しく教えてあげてるからね」

 と言ってくれて、嬉しかったけど。

 でも、多分これ、

 「頑張ってる」とかじゃなくて、

 性分なんだよな。

 心配になって、

 世話を焼きたくなってしまう性分。

 自分の疲労や余裕を考えずに、

 世話を焼いてしまう。

 プライベートだと、人の世話を焼きすぎて、

 自分が疲れたり、相手に甘えられたり、

 果ては相手に利用されたり。

 一概に「良い」とは言えない性質だけど。

 今回、仕事には活かされたようだ。

 

 先月の今頃は、今のことなんて、想像もせず。

 一般職で、暇なくらいな仕事を持て余して、

 仕事以外のことを考える時間も結構あったけど。

 

 そんな自分のまま、

 ある日、上司になったりするんだなと、

 ちょっと自分で、自分の人生にビックリした。

 

 これまで、先輩や上司の研修を受けた時、

 「この人が上司なんだなぁ」と、

 「なんだかよくわかってそうだなぁ」と、

 思いながらぼんやり見ていた、

 研修中の、上司のジャケットのこととか。

 思い出した。

 

 なんだか、自分の、

 「じゃない方」の人種だと思っていたのに。

 ある日突然、自分ごとになった。

 自分は大して、変わっていないのに。

 こんなに、自分のまま、

 「上司」になるんだと。

 正直驚いている。

 わたしはこれまで、見たことのない景色だった。

 そして、見える景色も、大差無かった。

 こんなもんなのか?

 不思議な感覚だ。

 

 あとは、

 職場はそこそこ忙しいのだけど。

 皆んな生き生き、

 楽しそうに働いて見えたのが、嬉しかった。

 それに、新人さんの周りの既存メンバーが、

 想像以上に、手厚く新人さんのお世話を

 してくれていることに、

 不覚にもちょっとウルっとしそうになった。

 

 これまで、前リーダーのもとで、

 何かしら皆んな、辛い思いをして、

 言いたいことも諦めて

 暗く固くなっていたメンバーが、

 息を吹き返したように見えて、

 嬉しかった。

 

 仕事が楽しい、とまで言ってよいかわからないけど。

 駐車場までの帰り道、Sさんと、

 「この人が、こんなことを言ってくれるようになった」

 「この人がこんなことをしてくれていた」

 と話しながら帰って。

 「大変だけど、いいことをしてるようで、

 気分が良いよね」と、話した。

 

 実際、メンバーの中には、

 わたしたちを、裏でやっかんで、

 いろいろ言っている人もいるのかもしれない。

 

 でも、わたしはそれを知らなくてもいいと思った。

 その方が自分も、気持ち良く働けるから。

 裏で、アカンベーをしていても構わない。

 表面、喜んでいるように見えれば、

 わたしはその方が気持ちよく頑張れる。

 その人を信じて、優しくもできるから。

 騙されていることになるのかもしれないけど。

 

 まあ、わたしは、上司という程の上司ではない。

 先輩程度ではあるけど。

 

 でも、今は、

 幸せな上司体験を、させてもらってるのかなと。

 ありがたく思おう。

 

 いつまで続くのかは、

 わからないけれど。